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遠藤知世吉・建築設計工房
ふくしま建築集団「ふくわ家」
未曾有の災害による福島県の危機。日々、起こる問題に建築のプロがどう立ち向かっていくのか。そんな思いから木工・工事・設計の技術を手に立ち上がった「ふくしま建築集団」(http://www12.plala.or.jp/fat/)。福島に住みたいと考えたとき、放射能対策を検討しないわけにはいかない。放射性物質、放射線の特性を知ったうえで、その対抗策を行いながら自由に楽しく住むこと。そのコンセプトをもとに提案されたのが「ふくわ家」だ。5/12(土)~14(月)の3日間、OPTICAL YABUUCHIで「ふくわ家」のおひろめ会が開催された。
遠藤知世吉さんは、まず放射線をより詳しく知るために放射線取扱いの資格を取得した。そのうえで、どのような住宅が望ましいのかを検討したそうだ。最初に、会場の真上、火災報知機を指さしながら「放射線は身近なもので、こんな物にも使われているんだよ。」と話す。火災報知機の煙感知器に利用されているそうだ。またタイヤゴムの強化などに用いられたりする。
「それからね、希望の持てる話もあるんだ。これを見て欲しい。」とプロジェクターから映し出される資料を指さす。そこには、広島 1945年の人口:35万人→現在の人口:117.8万人と書かれている。原爆投下時には『75年は草木が生えない』と言われていた広島が、67年後の今、人口は117.8万人と目覚ましい発展を遂げている。知世吉さんは、「このデータだけでも嬉しくなるよね。」と言った。放射線に対する不安や、先の見えない生活を抱える私たちにとって心強いデータだ。
さて、気になる放射線対策の住まいとは?まず、外部被爆を防ぐこと。そのために大切なことは、線源(放射性物質)から距離をとること。アルファ線は紙一枚、ベータ線は薄い金属板でとまる。ガンマ線は物質と相互作用せず遠くまで飛ぶが、距離の2乗に反比例し弱くなる。そこで距離をとり、外構と外壁で遮断することを考えた。放射線対策がしやすいように平屋にし、安全に遊べる場所を設けるため、中庭空間をつくる。その中庭を囲みながら部屋を配置し、周りから見守られた空間とする。そうすることで管理しやすいそうだ。コンクリート堀や物置等で放射能を止め、開口部は放射性物質から離した位置に設ける。高線量地域はコンクリート造住宅を考える。(コンクリート住宅は室内の放射線量が低い傾向があるため。)
提案された住宅設計の話を聞いた人の中に、幼稚園や学校で取り入れてはどうなのか?という意見が出たそうだ。一度試してみて、線量を確認しながら、実際の住まい環境を確かめてみるのは大切なことだろう。
遠藤知世吉・建築設計工房で働く知絵さんも、「こうした機会を設けたことで、色んな意見が聞けました。それを今後に活かしたい。」と話していた。震災に直面し、以後、日々起こる問題で心休まる日が少ない。だが、だからこそ新たな発想や対策がとれることもある。県内各地の建築のプロが団結し立ち上がった「ふくしま建築集団」、今後の展開に期待したいと思う。
遠藤 知世吉:「ふくわ家」設計者。「ふくしまの家」設計コンペ最優秀賞、設計監理した住宅にて、2011年度グッドデザイン賞受賞など。
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藁谷郁生
2011.05.13
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