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中山ヤスヒト
木工作家 中山ヤスヒト
軽くて水に強い栗材や弾力性のあるウォールナットを使用したスプーン、水目材のボールなど、木の温もりを感じれる作品を丁寧に作っている木工作家の中山ヤスヒトさん。中山さんの作るスプーンは、シンプルなデザインで長く使えるものが多い。木材の種類も様々で、どこか優しい雰囲気が漂う。
藁谷 「中山さん、木の種類って色々ありますよね。ぱっと見た感じだと区別がつきにくい。言い方が悪いですが、一緒に見えてしまいます。」
中山 「確かにね。ん~、簡単に言うと、学校で習ったことあるでしょ。針葉樹と広葉樹って。針葉樹は葉が針のように細長いマツやスギなんかで、広葉樹は葉が広くて平たい、サクラやケヤキ 、ブナ、タモ。まず、これだけで見た目が違う。さらに、環孔材や散孔材によって、道管や年輪の入り方が違ってくるんだよ。」
藁谷 「なんだか、難しいですね。」
中山 「そうだね、専門的なことは興味があったら調べてみて(笑)。実際に見てみると分かるよ。」
そう言うと、中山さんが桜や栗、ブラックオールナット、ホワイトアッシュなど素材別に自作のスプーンを並べ始めた。
中山ヤスヒト
中山ヤスヒト
中山ヤスヒト
中山 「これをよく見て。栗やくるみは表面に粒のような点があるでしょ。ざらっとした質感なんだ。それに対して、桜は点がなくて、つるっとしている。」
藁谷 「よく見るとそうですね。桜は持った感じがどっしりとしてます。栗は軽いですね。」
中山 「桜は丈夫で、欠けにくい、そして、重さもある。昔は細工がしやすいから版画に使われたりしていたんだ。材料はどの箇所を使うかで模様も違うし、質感も異なる。それぞれ違いがあるから面白い。用途に合わせて変えたりしてね。」
家具やスプーンなどを制作する場合、心材と辺材がある。心材は色が濃くて成長が止まった部分で辺材が成長している部分。通常は硬く安定している心材のみを使用する。こうやって話を聞くと同じ形でも、まったく別ものに思えてくるから不思議...。湿気や乾燥で状態も変化する木材は、「生きている」、「呼吸する」と言ったりするが、それを扱うところにも作り手としての面白さがあるように思う。いつも使っているスプーンが持ちやすくて、舌触りがいいと感じるのは、中山さんが使う人のことを考えて、木材を選び作っているから。大切に使いたいと思う理由はここにある気がした。
中山ヤスヒト
中山さんが新作オブジェを見せてくれた。桜の木で出来たそれは、直径6、7cmの小さな猫の形をしていた。しなやかな手足のライン、真っ直ぐに伸びた尻尾、ピンと立った耳。朝、お決まりのコースを見回りに行こうと、ゆっくり動き出しそうだ。
中山 「これを一つ作るのに、2日かかったよ。暇さえあれば、その辺にいる猫を観察してたよ。捕まえて触ってみたり。夢にまで出たんだから凄いだろ?」
四角い木材を立体的に作るのはとても難しい、というのは容易に想像できる。しかも小さい。桜の木が丈夫で欠けにくいとはいえ、相当神経を使う作業だと思う。猫以外にも、バセットハウンドやゴールデンレトリバーなど犬バージョンもあり、こちらは種別で表現していきたいそうだ。
藁谷 「中山さん、何故、こういったものを作ろうと思ったのですか?」
中山 「自分は職人ではないんだよね。職人って、確かな技術で依頼されたものを卒なくこなす。均一で落ち度がない物作りはそれだけで凄いと思う。ただ、決まったものだけではもの足りないんだよね。やっぱり、新しいものを生み出したり、作ったりしたいんだ。挑戦したいというか…。もちろん、それに見合った技術は必要だよね。」
見せてもらった動物のオブジェ以外にも、わびさびを追及した一輪挿しも制作中だという。以前から中山さんには“とことんやる”というイメージがある。探究心があり、興味のあることは半端にしない、何かブツブツ言いながら一日中考えている、そんなイメージ(笑)。だからこそ、そこから湧き出たアイディアを形にするまでに長い期間を用するに違いない。中山さんが作るものには一つ一つに確かなこだわりがあり、魅力がある。皆さんも是非、中山さんの作品に触れてみてほしい。
◎中山ヤスヒト:1964年、福島県伊達市保原町生まれ。デザイン校卒業後、地元建具職のもとで木工の基礎を教わる。1997年、自宅にてberryとして仕事を始める。
*berry HP:http://www.bess11.com
*木と生活ブログ:http://bess11.blog84.fc2.com
藁谷郁生
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